私はずっと、一つのことが気になっていた。「問いって、なぜこんなに人を動かすんだろう。」
12年間、3000人以上の方に「自分軸」のワークを届けてきた。直接のセッションだけでも1000回以上。一人ひとりと向き合い続ける中で、ある現象が繰り返されていた。私が何かを教えたわけでも、答えを渡したわけでもない。ただ「問い」を置いただけで、人は変わっていく。その人らしさが輝き始める。それが本当に美しかった。
同じ頃、別の現象も目にしていた。コーチングなどの質問の技術を学んで、その力を身につけた人たちが、なぜかどんどん苦しそうになっていく。「正しい質問をしなければ」「もっとうまく引き出さなければ」というプレッシャーが積み重なって、問いが人を動かすための「武器」になっていた。おかしい、と思った。なぜ同じ「問い」なのに、こんなにも違う結果になるのか。
その疑問を抱えたまま時間が経って、AIの時代がやってきた。答えを出すことじゃなくて、問いを立てること。効率的に解くことじゃなくて、わからなさの中に留まること。それが、AIには絶対にできない、人間だけに残された領域だ。
バラバラだった点が、ある瞬間に一気に「面」になった。「問いという学問を作りたい。」衝動、という言葉がぴったりだった。気付いたらそう思っていた。この白書は、その衝動から生まれた最初の記録である。